原宿に現れた「歩くゴミ箱」BinGo。学生発スタートアップが挑む新しい広告モデル

投稿者: | 2026年9月2日

東京・渋谷や原宿で、背中に大きなゴミ箱を背負って歩くスタッフの姿が注目を集めているようですね。

成蹊大学発のスタートアップ、株式会社WASABIが展開する「BinGo」は、街を歩きながらゴミを回収し、そのゴミ箱に掲載した広告で企業のプロモーションも行うサービス。

公共ゴミ箱の減少と観光公害が問題となるなか、「ゴミ箱の方から人のもとへ行く」という発想で、街の美化と広告効果の両立を目指しています。

BinGo

ゴミ箱不足と観光公害から生まれた「歩くゴミ箱」

インバウンド需要の回復により、渋谷や原宿、浅草といった観光地では人出が戻る一方、テイクアウト容器やペットボトルのポイ捨てが目立つようになっています。

路上のゴミは景観を損ねるだけでなく、衛生面の不安も大きく、自治体は路上飲酒の規制や罰則強化などを進めているが、テロ対策や管理コストの理由から公共のゴミ箱は減少傾向が続き、「捨てたくても捨て場所がない」ことが多くなっています。

こうした状況に対し、成蹊大学の学生らが立ち上げたWASABIは、「規制」や「罰金」だけに頼らないアプローチを模索し、行動を制限するのではなく、捨てやすい環境をつくることで「ポイ捨てそのものを減らせないか」という問いの答えとして、スタッフがゴミ箱を背負って街を巡回する「BinGo」が生まれました。

広告枠付きゴミ箱が街を巡回

BinGoの特徴は、環境保護活動とオフライン広告を一体化している点にあり、スタッフは、広告枠を備えた専用のゴミ箱を背負い、渋谷・原宿・浅草などの繁華街を決まった時間帯に歩いていき、通行人は、近くに固定のゴミ箱を探さなくても、すれ違いざまにゴミを捨てることができます。

ゴミ箱の側面には企業の広告が掲載され、訪日客や若者など、街を歩く人々の目に自然と入るようになっていて、さらにBinGoはクーポン配布や店舗への誘導に使えるQRコードも備えており、ゴミを捨てるという行為をきっかけに、店舗来店やオンライン上のアクションにつなげることも想定されています。

通行人は「ゴミを引き取ってもらえた」という実利があるため、広告との接触も好意的な体験になりやすいですね。

「感謝される広告」としての評価と実績

一般的な屋外広告は、一方的に情報を見せる形式になりがちですが、BinGoでは通行人が自らスタッフに近づき、ゴミを捨てるという能動的な行動が生まれ、その過程で、広告主のロゴやメッセージ、QRコードに自然と触れることになります。

WASABIは、この仕組みを「嫌われない広告」ではなく「感謝される広告」と位置づけていて、この活動の様子を収めた動画はSNS上でも反響を呼び、「こういう広告なら歓迎できる」「もっと広まってほしい」といった好意的な声が寄せられています。

BinGo関連の動画は累計で400万回以上再生されていて、サービス開始からすでに15社以上が広告を出稿しているようで、街頭での露出に加え、SNSでの拡散も組み合わさることで、オフラインとオンラインをまたぐプロモーション効果が生まれています。

学生スタートアップが描く「三方よし」のモデル

BinGoを運営する株式会社WASABIは、2025年に設立された成蹊大学発の学生スタートアップで、「若者から社会に刺激を」というミッションを掲げ、大人だけでは解決が進まない社会課題に対し、学生ならではの行動力と発想で取り組む姿勢を打ち出しています。

同社が目指すのは、企業、生活者、そして街の三者がそれぞれ利益を得られる「三方よし」のモデルで、企業は広告を通じて認知とブランドイメージの向上を図り、通行人はゴミを気持ちよく捨てられることに。

街はポイ捨てが減ることで景観と衛生面が改善され、WASABIは、BinGoを通じ、こうした構図を実際の都市空間で実装し、新しい広告のスタンダードに育てていくことを目標に掲げています。

今後の展開と、街で見かけたときにできること

BinGoの活動エリアは現在、渋谷・原宿・浅草などの繁華街が中心となっていますが、WASABIは今後の全国展開にも意欲を示していて、観光地やイベント会場、繁華街など、ゴミ箱不足と人の往来が重なる場所は多く、同様の課題を抱える地域は少なくありません。

街中で広告付きのゴミ箱を背負ったスタッフを見かけたら、まずは気兼ねなくゴミを捨てることができる。

ほんの数秒のやり取りだが、その一つひとつがポイ捨てを減らし、街を少しずつきれいにする行動につながる。

企業にとっては、環境負荷の軽減に貢献しながらブランドメッセージを届ける選択肢として、これまでにないオフライン広告の形を検討するきっかけになりそう。