アラウーノが20周年を迎えるタイミングで登場する「アラウーノ L-CLASS」は、単なる高機能トイレの新モデルではないんです。
パナソニック ハウジングソリューションズが狙っているのは、日本の「狭いトイレ空間」そのものの条件を、まとめて作り変えることのようですよ。
まず、基本となるのが住宅事情の変化で、住宅価格高騰の中、住まいの狭小化が進んできており、限られた面積をどう配分するかが課題となっており、そのなかでもトイレはもともと面積が小さく、圧迫感や掃除のしにくさ、見た目、におい、音といった不満が集中しやすい場所でもあります。
調査においても、魅力的なトイレ空間の要素として「落ち着いて過ごせる」「シンプルで洗練されたデザイン」「トイレ空間が広い」といった回答が上位に並ぶ一方、現状への不満として「掃除が面倒」「狭い」「においや音が気になる」などが挙がっているようです。
そんな中、L-CLASSは、その不満に対して個々の機能で応えるというより、「空間としてどう感じられるか」から逆算して設計されているようで、象徴的となるのがそのサイズ。
従来品から奥行を約78mm削り、便器前出寸法622mmという「業界最小奥行」をうたいつつ、座面の奥行は維持しつつ便座面積を105%に拡大されています。

その結果、足元や前方に空間が生まれ、立ち座りや方向転換がしやすくなり、視覚的な圧迫感を減らすことに成功しています。
その一方で、座ったときの受け止め方はむしろ大きくすることで、「コンパクトにしたのに座り心地が悪くなる」というトレードオフを避けており、これはかなり画期的。
デザインも「ノイズレス」がキーワードになっていて、アラウーノ独自の四角丸デザインをベースにしながら、余計な凹凸や陰影を削り落とし、フラットで水平な面と逆テーパー形状を組み合わせ、空間に静かに溶け込むフォルムにまとめられています。
ここでの狙いは、トイレを「設備」として目立たせるのではなく、住空間のインテリアの一部として整えることのようで、さらに今回のトピックになっているのが、業界唯一とする「セミフロートタイプ」の追加のようですね。
便器自体は床置きとなるのですが、足元に抜け感が出るような造形となっていて、浮いているような軽やかさを演出しており、壁掛け式に近い印象を持たせつつ、床固定構造を採用し壁補強を不要にし、リフォームでも導入しやすくなっています。
足元が軽く見えることで、狭いトイレにも広がりを感じさせたいというコンセプトが透けて見えますね。
色づかいも、いまのインテリアトレンドを踏まえたカラーとなっていて、ニュートラルカラーを基調にした「サステナブルグレー」を追加、落ち着いたグレートーンで空間になじませています。
工場廃材を活用したカラーで、意匠性と環境配慮の両方をうたう構成になっているみたいで、「設備やインテリアが空間に調和している」ことが魅力として挙げられているようです。
機能面ではアラウーノらしい「おそうじのしやすさ」を軸にしながら、音とにおいに踏み込んでいて、市販の台所用中性洗剤から生成した泡で便器内を洗うバブル洗浄、少ない水量で効率的に流すスパイラル水流、汚れが付きにくいスゴピカ素材、継ぎ目をなくしたスキマレス設計、トリプル汚れガードなど、従来シリーズで積み上げてきた清掃性の工夫はそのまま継承されています。
それに加え、ナノイー発生量を従来比約10倍にした「ナノイーX(48兆)」を搭載し、におい対策が強化されていて、トイレ空間の空気を脱臭するだけでなく、壁などに付着したにおいの抑制にも配慮した設計となっています。
トイレ選びで「消臭機能」を重視する人が約45%と最も多いという調査結果に、真っ向から回答を突きつけた形。
音についても、これまでのサイホン便器の洗浄音がおおよそ70dBだったのに対し、L-CLASSでは約55dBまで抑えられているようで、これは人の話し声レベルとされる音量で、夜間や来客時に気になりやすい「水を流す音」を目立たなくしてくれそう。
調査によれば「用足し音」「来客時の音」「夜間の洗浄音」がそれぞれ一定割合で気になる要素として挙げられており、トイレの音に悩む人が少なくないことが示されていますから、ここにも注意を払われたんでしょうね。
ここまでみてくるとL-CLASSは、「汚れ」「におい」「音」という、利用者が声に出しにくいストレス源に対して、一つずつしっかりと対応しつつ、トイレを「単体の機器」としてではなく、「毎日使う小さな部屋」として見立て、その居心地を設計し直したとも言えます。
さらに、価格と非常時対応にも踏み込んでいて、原材料価格や物流費、人件費が上昇を続ける中、同社は生産効率や部材構成を見直し、従来の「アラウーノ L150」と同仕様で比較すると5,000円の価格引き下げを行ったようです。
デザインや機能を全面刷新するフルモデルチェンジをかけながら、昨今の値上がり傾向の情勢とは反対に、価格が上がるのではなく下がる方向に向かっているのは、なにげに好感が持てますね。
災害時の対応も、停電時には9Vのアルカリ乾電池を本体に接続することで排水操作を行えるようで、断水時にもワンボタンで本体の排水機能を利用可能となっていて、少量の補給水(4リットル)で使用を継続できるみたいです。
日本が地震や台風、豪雨などの自然災害リスクを抱えるなかで、「平常時の快適さ」だけでなく「非常時にも使えるかどうか」が住宅設備に求められているという流れの最先端となりそう。
全体を見てみると、アラウーノ L-CLASSの位置づけは、「高級トイレ」の新モデルというより、狭小住宅のトイレ空間に積み重なっていた不満を、サイズ・デザイン・座り心地・清掃性・におい・音・価格・非常時対応まで含めて横断的に見直したプロダクトとなっていて、トイレを単なる設備機器ではなく「限られた空間にゆとりと上質感をもたらす存在」として捉え直すためのフルモデルチェンジが、今回のL-CLASSともいえます。